2018年11月15日木曜日

歯科医療におけるとっても大事なこと。。。


こんにちわw
矯正を担当しています、前川です。

今回は歯科医療における大事なお話をします。

歯科医療において、臨床、治療方針や、治療計画を立てたり、意思決定していく場合、
決して、私たちが一方的に、そして、根拠もなく決定するわけではありません。

逆に、一方的に決めたり、根拠もなく行うことはあってはならないことなのです。

この下の図を見て欲しいのですが、EBD ( Evidence Based Dentistry )

EBDとは、直訳すると、根拠に基づいた歯科医療ということになります。
上の図のように、歯科医療というものは、この3つの輪が重なって成り立ちます。

・ 医療者の経験や技術
・ 患者さんの好みや価値観
・ 科学的根拠 (文献、論文)

この3つが考慮されなくてはなりません。
決して論文の報告だけで臨床を行えるわけではないし、
私たちの経験則のみで行うことも危険です。
残念ながら、患者さんの希望だけで行うことも危険です。

この3つのバランスを常に考慮しながら、歯科医療は行われるべきなのです。
何十年も前からこれは言われていることですが、日本ではいまだに正確に把握できているとは言えません。
日本の教育では特に、ある誰かの意見のみを重視し、経験則だけで語り、質の高い文献をあまりにもないがしろにしているところがあります。

ということで、最後に文献を紹介します。






















Powered versus manual toothbrushing for oral health (review)
Yaacob.M et al , Cochrane.2014

口腔の健康における、電動 対 マニュアル ブラッシング

この報告は、いわゆる電動ブラシと自分の手で歯ブラシを持って磨くのと
どちらがよく落とせるか。です
質の高い論文を多く集めて統合してあります。
結果は。。。電動の方がよりよいであろうという報告になっています。

では、この報告をもって、皆さん全員に電動を使えばキレイに磨ける!!
と言えるでしょうか?
かなり質の高い研究を集めてありますから、電動の方がより良いというのは間違いないと思います。
ただし、様々な条件を同じにした場合、電動の方がよりよいであろうということです。

落ちやすいからと言って、電動に安易に頼ることは決していい決断とは言えません。
電動でも、雑に磨けば、使い方を誤ると、全然落ちません。
電動は技術的に意外と難しいです。
逆に自分で歯ブラシで丁寧に時間をかけて磨けばもちろんキレイになります。

前述した、歯科医療の大事なことをもう一度これに当てはめて、考えてみると。。。

文献的には、電動はよく落ちるということになっている、
ただ、私たちの経験上、この患者さんには、自分で普通に歯ブラシで磨く方が合っているかもしれない、または、手が動かしにくいから電動の方が合ってるな。
そして、患者さんがもし電動を望むなら、それはどういう理由で望むのか。
どちらも メリット ・ デメリット があるので、それを説明したうえで、どちらを使っていくか、話し合って決めていくべきなのです。
単に楽そうだという理由で電動を選択するなら、危険な判断だし、
いや、頼らずに自分で歯ブラシで頑張る!!というのも立派な決断。

このように、臨床とはその場の状況や患者さんに合わせて決断していくものなのです。

なので、まずはみなさんの希望やお話を聞かせて下さい。

ただ、この報告のように文献上なにがコンセンサスになっているかを知っておいて、
それを土台にしたうえで臨床を行っていくのが、我々の最低条件だと思っています。

また、色々な文献を今後も紹介していきますね ♪