2019年7月20日土曜日

フッ化物の迷信と真実

みなさんこんにちわ ww
前川です。
夏ですね、あまり暑くないので過ごしやすさという点ではいいのですが。。。

さて、夏休みということもあって、前回予告していたように、フッ素に関することを書きます。正確にはフッ化物です。

“ フッ化物の迷信と真実 ” について書きます。
誤解を恐れずに書きますので、長文になりますが読んで頂けると嬉しいです。

よくフッ素は効きますか? 効果ありますか? と質問を受けることがありますが、
この質問では、その質問では回答しかねます。。。笑
と答えるしかありません。笑


フッ化物ほど随分前から研究され、真実に近いことがわかっているものはないかもしれません。それほど研究が沢山されています。
ただ、フッ化物が効果があるかどうかは、もう議論されません。
ある程度効果がわかっていて、どのような場合に、どのような人に、
どのような部位に、どういう種類の、どういう風に使用すると効果があるのかないのか。。。。
こういう議論をするわけです。


なので、効果がありますか? ではなくて、
どういう人にどういう歯にどういう種類のフッ化物をどう使うと。。。
細かく聞いて、そういう場合は効果がありますか?という質問になると、
そういう場合はどうですこうですと答えることができます ^ - ^
難しいんですが、これが医療なのです(^ ^)

まず、はじめにわかっておかなければならないことは、フッ化物は決して歯を強くするものではないということです。
どうもない健康な歯にフッ化物を塗布して、強くなることはありえません (^^;
初期う蝕に対して、再石灰化するかどうか。。です。
初期う蝕に対して、進行を止めることができるかどうか。。です。

それではどれくらい効果があるかを、文献をいくつか紹介しながらみていきますね。




Effectiveness of Early Preventive Intervention with Semiannual Fluoride Varnish   Application in Toddlers Living in High-Risk Areas
: A Stratified Cluster-Randomized Controlled Trial
Anderson M . et al . Caries research . 2016



この研究は、スウェーデンとデンマークの研究ですね。
ある地域の子供4847人を対象に
フッ化物がう蝕の進行を抑制できるかを3年間追って調べています。
半年ごとに年2回歯科医院で Duraphatレジスタードマークといういわゆるバーニッシュを塗布するのに加えて、フッ化物配合歯磨剤 (1,000–1,450 ppm ) と歯ブラシを渡して家で使ってもらいました。
Duraphatレジスタードマーク は以前ボクも使っていましたが、黄金色のような色でベタベタした松ヤニに似た状態のものです。かなり高濃度です。
これを年2回半年毎に塗布して、有効濃度のフッ化物配合歯磨剤を使ってもらった結果。。。。う蝕の進行はほとんど抑えられませんでした。
残念な結果でした。

ポイントはタイトルにあるように、Living in High-Risk Areas
う蝕がハイリスクの集団が対象だということです。
この研究ではハイリスクの子供に年2回バーニッシュを塗布して、1日2回親にフッ化物配合歯磨剤を使って磨いてもらっても、う蝕の進行を止めることはできなかった。という結論です。
中を読むと、さらに来院時には口腔清掃指導、食事指導、水分補給等の予防プログラムを全員に行なっています。
これだけやっても、う蝕の進行は抑制されていません。

ハイリスクの子供の定義ですが、リスクの高い子供は、ECCと呼ばれます。
英会話ではないですよ。笑
ECC (Early Childhood Caries) と呼ばれ、通常6歳までにう蝕が一本でもあると、
ECCに分類されます。
3歳までに一本でもあると、超ハイリスクのECCに分類されます。
このAnderson らの研究もこの超ハイリスクの子供たちが対象になっています。

この研究からわかることは、ハイリスクだと、フッ化物は効果がないんじゃないか、
そして、う蝕の進行はフッ化物だけでは防げないことを教えてくれています。


もう一つ研究を紹介します。



Fluoride mouthrinses for preventing dental caries in children and adolescents
Marinho V . et al . Cochrane. 2016



これも信頼性のおける研究ですが、
子供から若年層に対してのフッ化物配合洗口剤のう蝕進行の抑制効果です。
子供から若い人に対してフッ化物配合の洗口剤を使用するとう蝕の進行を抑制できるのか
という研究です。
この研究ではう蝕の抑制効果は、約23% と結論づけています。
ただし、やはりハイリスクの対象者には効果が出ていません。

これらの研究から、リスクが高くない若年層までの患者に、フッ化物配合の洗口剤や歯磨剤を的確に使用すると、約20% う蝕を抑制できることがわかっています。
20% 抑制するというのは、5人に1人に有効、または5本あるう蝕の1本に有効、
または、5歯面あるう蝕の1歯面に有効 など、そういう意味になります。

結論として、フッ化物にう蝕を抑制する効果はある。それは20%程度。
ただし、ハイリスクな人には効果が期待できない。
そして、大事なことはフッ化物だけではう蝕は抑制することが出来ず、適切なブラッシング、甘いものの摂り方、個人個人のう蝕に対する感受性、なりやすさなどが重要で、それを的確に把握した上でのフッ化物であることを忘れてはいけません。

最後に大事なことがあって、どう効果があるかばかりが議論されますが、
フッ化物のリスクについてはなかなか議論されません。
要するにフッ化物の良い効果の方はよく議論されているけども、フッ化物の害などはあまり議論されていないのが現状です。



最後にフッ化物の害について、reviewしている文献を紹介します。


Topical fluoride as a cause of dental fluorosis in children
Wong M . et al . Cochrane. 2010



フッ化物配合歯磨剤を使用することによる歯のフッ素症に関するreviewです。
彼らは気をつける点をいくつかあげています。

1 : う蝕予防におけるフッ化物使用は、効果とリスクのバランスを考慮しなければならない
2 : 研究は中等度のフッ素症が対象
3 : 12ヶ月未満の子供へのフッ化物使用はフッ素症のリスクが上がる可能性
4 : 12ヶ月〜24ヶ月の子供が対象の研究は少なくevidence不足
5 : フッ素症の観点からいうと、6歳以下は1000ppm未満の歯磨剤が推奨
6 : まだまだ害についての報告が少なく、よい研究が待たれる

こういう点をあげています。

以前ブログに書かせてもらいましたが、evidence とはこういうものです。
現在研究でわかっていることはここまでと言い換えることもできると思います。
ボクらは可能な限り正確な情報をお伝えして、効果とリスクを説明して、
それを使用するかどうかを最後に決めるのは患者さんそれぞれなのです。
フッ化物に効果がある! と捉えるか、これだけしか効果がないと捉えるか。。
使用するかどうかを決めるのは患者さんそれぞれなのです (^ ^)

ちなみに、フッ化物の上水道化は、強制的にフッ化物が入っているため、
わたしはフッ化物の水道水要らない! という権利を奪われるため、スウェーデンでは今は入っていません。

フッ化物はそれぞれが効果とリスクとを考慮して使っていきましょうということですね。

長くなりましたが、これが現在フッ化物においてわかっていることとなっています。
決してフッ化物を否定するわけでも肯定するわけでもありません。
こういう貴重な研究を知っておいて、場合によっては勧めたり、考えたりするべきではないかということです ^ - ^
ボクも使用するのを勧める場合があります。

読んでいただいてありがとうございました ♪
長くて内容も難しかったと思いますので、いつでも質問・疑問お待ちしています (^ ^)

2019年7月6日土曜日

セラミックのかぶせもの

こんにちは。平井です。



梅雨らしくジメジメとした日が増えましたが
皆様いかがお過ごしでしょうか。

今日はセラミックのかぶせものを紹介します。



先日、セラミックのかぶせものを入れました!
(お恥ずかしい話ですが、虫歯が出来てしまい・・・
副院長に治療していただきました( ;  ; ))


見た目が良いのはもちろんのことですが、変色しにくく
汚れ(プラーク)が付きにくいことが良いところです。

実際にセラミックのかぶせものを入れてみて
違和感もなく、磨きやすいです。
ニコっと笑っても自分の歯と見分けがつかず
気にすることなく過ごせています。






いろんな種類のかぶせもの・詰めものがあります。
見た目が良いものにしたい、耐久性があるものが良いなど
ご要望がありましたら遠慮なさらずにおしゃってください。




また、7月はホワイトニングキャンペーンを実施中です。
通常価格よりかなりお安くなっています。
この機会に白く輝く歯にしてみませんか。




ご来院をお待ちしています。