2022年5月20日金曜日

虫歯は伝染するのか?!


みなさんこんにちわ、前川です。
梅雨が近づいてきて、雨男のK山K先生はビビってると思います。
ボクは梅雨が大嫌いです。

さて、以前cariology(う蝕学)についてシリーズ化し、言及しましたが、
今回は新しい文献を見ながら、現在の流れを再確認していきたいと思います。
ボクらは常にupdateしていく必要があります。
文献や研究を常に検索し、確認していきながらupdateしていく必要があります。
そして重要なのは、その情報を基に患者さんに適切に伝え、最適な医療を共に考えていくことにあります。

さぁこの文献は、2021年末に出版されました。
現在のcariology(う蝕学)の流れ、考え方を端的にまとめています。



タイトルはズバリ、
Understanding dental caries as a non-communicable disease
Pitts. et,.al. British dental journal .2021

" 非感染性(非伝染性)の病気としてう蝕を理解する ” となっています。

つまり結論から言うと、う蝕を感染(伝染)するような病気とは考えない!ということです。
ここは非常に重要です。
今回はこの点に絞って、再確認し、お話をしたいと思います。

その昔、う蝕に関わる S.Mutans が生後19〜31ヶ月の間に最も定着すると報告し、
これを ” 感染の窓 ” と呼びました。(Caufield.1993)
乳歯が萌出した後、母親から感染すると考えられていたのです。
元々はいない細菌が、乳歯が萌出後に、母親から感染すると考えられていました。
よって、この期間にいかに ”虫歯菌” を定着させないか、それに必死になるあまり、
親と食器を分けましょう!口移しをやめましょう!
という対策になっていったのです。

ところが、2000年代に入り、様々な報告が出てくる中で、
今までは、乳歯が萌出した後に見つかると思われていたS.Mutansが、
乳歯が萌出する前から存在する報告もされ始めました。
つまり、乳歯が萌出しているしていないに関わらず、S.Mutansが存在しているという報告も出てきたのです。(Tanner.2002,Wan.2001)
どの段階で存在するのかははっきりとわかってはいませんが、どこかの段階で、
母親からくることが多いと考えられています。

ところが、そもそも現在のcariology(う蝕学)においては、以前シリーズ化してお話したように、単一の細菌の影響は考えません。
う蝕とは、砂糖摂取や唾液低下などによりプラークのpHが低下し、う蝕の原因となる細菌が成長しやすい環境となり、細菌叢のバランスが崩れた結果である。
これがいわゆる、”生態学的プラーク仮説” です。
状態としては、脱灰と再石灰化のバランスが崩れて、脱灰の方が上回ってしまうことです。

どの細菌があーだこーだはもう考えません。
う蝕に関わる細菌が数十種類いる中で、そもそもS.Mutansは数が少なく、どこにでも、健全な所にも存在します。
S.Mutansだけを考える意味はありません。
細菌叢全体の環境変化、バランスの問題です。

下の表を見てください。
う蝕と他の感染症との違いを表にしています。
黄色の線で引いた箇所を見てください。


Disease is transmitted person-to-person (人から人へ伝染する病気なのか)
の問いに対し、Dental caries(う蝕)のところは思い切り、”No” となっています。
タイトルにあるように、う蝕は伝染(感染)するような病気とは考えないのです。

これらのことから食器を分けることが正当化されるのか、現在の報告では決して適切であるとは言えないということです。
分けてもいいんです。分けるな!と言っているわけではありません。
分ける意味がないだけです。
食器を分けようが分けまいが、すでにもうそこに細菌は存在しています。
さらに、お子さんに食べさせるものをフーフーしたり、熱くないか確認したり、
可愛いわが子にちゅーをしたり、そういう大事なスキンシップを妨げることで、
精神の成長や発育に障害が出る可能性の報告もされています。

ただ、どこかの段階で母親からくる可能性が高いので、
大事なことは、食器を分けたり、スキンシップを控えることではなく、
優先すべきは、お母さんの口腔内をいい環境にしておくことです。
母親の口腔内の状況によって、子供への細菌定着への影響があることが報告されています。
お母さんの口腔内の環境が良い場合、そのお子さんの細菌の定着は、抑制されるまたは遅延する報告がされています。(Berkowitz.2003,2006)
お母さんの口腔内が良い環境であれば、お子さんにも安心なはずです。
是非、一緒に通院されてcheckしたり、良い状態を維持してください。

う蝕はmulti factorial disease(多因子疾患)です。
単一の細菌で起こるわけではありません。

どう対策していくかが下の表にまとめてあります。
復習になりますので見ていただけたらと思います。


適切なブラッシングフッ化物の使い方、そして食事やおやつの食べ方がとても重要です。
いかに酸性の環境を作られにくくするかです。
この文献では詳しく言及していませんが、個々のリスク把握も大事です。
なりやすさです。

まとめます。
➀う蝕は感染(伝染)するような疾患ではない
➁乳歯が萌出する前に、う蝕に関わる細菌は存在している可能性がある
➂食器を分けるよりも、周りの大人の口腔内の状況がどうかが大事
➃単一の細菌ではなく、多因子疾患(食事、フッ化物、ブラッシングなど)
➄pH低下に伴う環境変化による、細菌叢のバランスが崩れた状態

現在のcariology(う蝕学)の考え方を最新の報告をもって再確認していきました。
う蝕は多因子疾患であるため、様々なことを複合的に考えていく必要があります。

いかにpH低下(酸性の状態)を防げるか、一緒に対策を考えていきましょう。

さぁ、食器を分けることを優先させますか?

それではまた♪


2022年5月9日月曜日

お薬手帳について

こんにちは。平井です。

暑い日が増えましたね。

梅雨が近づいているようです。


先月、子どもたちとタケノコ掘りをしました。

息子は探すのが上手くなってきました。




2人ともタケノコ堀りが大好きで
今年も体験できて喜んでいました。
来年も楽しみです^ ^


さて、、

今回は『お薬手帳』についてです。

今やお薬手帳は、病院を受診する際に

欠かせないものになりました。

歯科クリニックでも『お薬手帳』が必要です。


出血を伴う治療や、薬の処方が必要な場合などに

お薬手帳の内容の確認が必要です。

薬の飲み合わせや、アレルギーなどの確認をします。

また、薬の種類によっては

歯科治療が難しい場合もあります。



服用中の薬が変更になったとき、種類が増えたときも

お知らせください。


安全に歯科治療を受けていただくため、

忘れずに持参ください。