2021年2月27日土曜日

う蝕(虫歯)をどう捉えるのか

みなさんこんにちわ、前川です。

今年も宜しくお願いします!

さて前回からボクの回、3回にわたり、cariology(う蝕学) について連載していくということをお伝えしました。

今回は、第二回

第一回 : う蝕の病因論 (なぜ虫歯ができてしまうのか)
第二回 : う蝕の概念 (現在のう蝕というものの捉え方)
第三回 : う蝕のマネージメント (う蝕をどう予防、治療していくべきか)

現在のう蝕というものの概念、捉え方についてお話ししていきます。

第一回では、なぜう蝕ができてしまうのか、でした。
う蝕は多因子疾患です。何か一つの要因で疾患が起こるわけではありません。
ブラッシングが適切か、甘いものや炭水化物の摂取の仕方はどうか、リスクはどうか、
フッ化物は使用しているか、唾液はどうか、環境因子など多因子なのです。
そしてどれか単一の細菌が何か悪さをしているわけではありません。
この多因子によって、細菌叢のバランス、脱灰と再石灰化のバランスが崩れることによって起きます。
どっかから感染するとかいうものでもありえません。

みなさんはう蝕ってどういうイメージですか?
穴が空いたもの?痛いもの?削るもの?詰めるもの?

ちなみにう蝕ってたいてい痛くありません。
痛みがあったら う蝕 ということでも全然ありません。
したがって、知らない間に進行しているのです。

現在のう蝕というものの捉え方は、

“ 疾患というものではなく、プロセスである “
Dental caries : The Disease and its Clinical Management
Fejerskov O & Kidd E .Blackwell Munksgaard . 2003








Kiddたちはこう表現しています。
脱灰と再石灰化を日々繰り返していくプロセスの中で、バランスが崩れ脱灰が再石灰化を上回ることによってう蝕というものになってしまうという、それもまたプロセスであると言っています。

言い換えると、う蝕は努力することでコントロールできる可能性があるということです。
う蝕=削るもの ではなく、コントロールしていくもの ということです。

さらに、う蝕は穴が空いたものを言うわけではありません。
先ほど言及したプロセスなので、穴が空いていないう蝕もあります。
適切な診断が必要ですが、う蝕は全て削って詰めるわけではなく、
それ以上進行しないようにコントロールできるものもあるし、今からう蝕が新たに発生しないようにコントロールしていくそういうものですということになります。
ただし、ある一定以上の進行をしたものは、早めに修復する方がよいう蝕もあります。

重要なことは、
①適切なブラッシング(フッ化物を含めた)
②個々のリスク
③食べるものの摂取の仕方(糖類、炭水化物)

これを評価していくことが大事になってきます。

もう一度言います。
” う蝕はプロセスであり、コントロールするもの “

そして、リスクは変化します。良い方にも悪い方にも。
Importance of early determination of caries risk
Koch G . Int Dent J . 1988


う蝕になったら、セラミックにしようかな、ゴールドにしようかな、
どういう材料で修復していくかそればかりに焦点が当てられがちですが、
“ どうコントロールしていくか ”
それを一緒に考えていきましょう。


次回は、う蝕をどう診断し、コントロールしていくべきか、予防していくべきか
についてお話しします。

それではまた
Have a good weekend.