2022年9月11日日曜日

良好な結果を得るために

 

みなさんこんにちわww 前川です。
少し朝晩は涼しくなってきた気がします♪
秋が待ち遠しいですね。

さて、今回も文献を紹介します。




Association between fixed orthodontic treatment and dental caries
: a 1-year longitudinal study
Pinto . et al . Braz. Oral Res. 2021


固定式の矯正治療を行うこととう蝕の関連性を、1年間に渡って観察しています。

矯正治療が必要だと判断された30歳までの患者135人を、
実際矯正治療を行う人、行わない人の2つのグループに分け、
1年間観察すると、う蝕の発生に差が見られるのかを報告しています。


う蝕の発生率は、固定式の矯正治療を行う行わないで、差が見られるのか。
というものです。

さてこの文献的にはどういう結果になっているのでしょうか。




表を見てください。
固定式の矯正治療を行わなかったのに対し、行った方は、8倍う蝕の発生リスクがある結果となっています。
さまざまなう蝕に関わる因子を排除し、矯正治療の影響だけで考えても9倍のリスクがあると結論づけています。

この文献の研究手法にも様々問題はあります。
どういう歯列不正かは細かく言及されていない、1人の観察者が行っていたり、
う蝕リスクの高い集団であり、矯正治療がスタートした後、一切ブラッシングのcheckを行なっていません。

この研究の対象者はブラジルで、水道水にもフッ化物が入っています。

以前も何度か言及しましたが、う蝕は多因子疾患です。
一つの要因で起きるわけではなく、さまざまな要因が複合的に重なって起きます。
決して固定式の矯正装置をつけたら、みんなう蝕が8倍もできるわけではありません。

固定式の装置をつけるとどう考えても、細菌は停滞しやすくなります。
したがってリスクの高い人の場合は、固定式の装置をつけるとう蝕を発生する可能性が高くなるよということを示唆しています。

さらにこの研究では、矯正装置をつけたあと、ブラッシングのcheckやう蝕への予防処置は一切行なわれていません。
やはり、checkを行って、慎重に観察していく方が安全だということも示唆しています。

したがって、我々はまず矯正治療を行う前に、現状でブラッシングが適切に行えるか、う蝕のリスクのコントロールはできているか。
これら一定の基準をクリアしない限り、矯正治療をスタートしません。
そして、矯正治療中も必ずcheckを行っていきます。

矯正治療をしたけども、上の画像右のようにう蝕が発生してしまえば、
なんのために行ったのか、意味がわからなくなってしまいます。


う蝕という多因子疾患の中で、固定式の矯正装置が一つの要因になる可能性を示唆した文献を紹介しました。

リスク把握と適切な管理がいつも重要かつ必要であるということです。

さぁ今月もcampに行けるでしょうか。。

それではまた